|
Q.
|
親が亡くなり、遺産を相続することになったのですが、相続人の一人がどこにいるのかわかりません・・・・。どのようにして、遺産分割協議をすればよいでしょうか? |
A |
遺産分割協議は、必ず相続人全員で協議し、遺産分割協議書に調印することが必要です。
ですから、基本的にはできるかぎりの手を尽くして、行方不明の方を見つけなければなりません。
それでもどうしても見つからなければ、次のような制度があります。
失踪宣告
失踪宣告とは、行方不明になってから、7年間(例外的にもう少し短期間の場合もあります)、その人の生死がわからない場合、家庭裁判所に申し立てることにより、その人が亡くなったものとして、取り扱われます。
この場合、行方不明になった人の相続人が、遺産分割協議の当事者になりますので、その人も交えて遺産分割協議をすることになります。
不在者財産管理人の選任
失踪宣告の申立をするほど長期間ではないけれど、相続人の行方がわからない場合において、遺産分割協議を済ませる必要がある場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てることにより、その財産管理人と相続人とで、遺産分割協議をすることが可能です。
但し、行方不明者の財産管理人は、基本的にその相続人の法定相続相当分を、相続させるような内容でなければ遺産分割協議をすることができませんし、当該遺産分割協議と無関係の人でなくてはなれません。
|
Q |
父が亡くなり、私(二女)単独名義に相続登記をしたいと考えています。
相続人は私と姉がおりますが、姉は統合失調症で30年以上入院しています。
相続には遺産分割協議が必要で、相続人の印鑑証明書も必要だと聞きましたが、妹は実印登録もしておりません。
私が代わりに手続きをして相続登記をすることができますか?
|
A |
相続で遺産分割協議を行う上で、相続人全員がその遺産分割協議に同意しなければ成立しないわけですが、その同意する能力がない場合、法律行為そのものが無効なため、遺産分割協議は成立しません。
ご相談事例によると、お姉さんは統合失調症で30年ほど入院しているとの事ですが、遺産分割協議を行う判断能力には問題がないのでしょうか?
もし、判断能力に問題がある場合は当然遺産分割協議に同意することはできないため、そのままでは相続登記を申請することもできません。
まずは成年後見申立をした上で、成年後見人を選任してもらい、その成年後見人との間で遺産分割協議を行う必要があります。
※成年後見制度とは
もう一歩踏み込んで
成年後見人は、「自己決定権の尊重」「残存能力の活用」「ノーマライゼーション」と、「本人の保護」との調和を念頭に業務を行う必要があります。
今回の遺産分割協議では、相談者単独の名義にするとなると、本人の保護という点が問題になります。
つまり、成年後見人は、被後見人本人の財産を保護しなければならない立場のため、本人の相続分を放棄してしまうような遺産分割協議をすることは原則的にはできません。
よって、妹さん単独相続とする遺産分割協議をするならば、その不動産の価値に見合った現金等財産を姉に渡す必要があります。(それぞれのご事情により、多少対処方法は異なります)
また、妹さんが成年後見人になっても構いませんが、遺産分割協議をする場合、被後見人であるお姉さんとの利害が対立するため、家庭裁判所に特別代理人選任申立を行い、特別代理人との間で、遺産分割協議を行う必要があります。
※成年後見人の仕事
|
Q |
権利証をなくしてしまったのですが
|
A |
例えば所有不動産を、誰かに売ったり、贈与したり、抵当権を設定する場合、自分がかつて売買や贈与により、所有権取得の登記をした際の権利証(登記済証)が必要となります。
これは、確かに所有者本人が手続きをしている事の証明のためです。
この権利証(登記済証)を紛失してしまった場合、再発行はされません。とはいえ、権利証がなくては売ったりできないかというと、もちろんそんなことはなく、次のいずれかの方法を選択して登記申請を行うことになります。
(1)事前通知制度
事前通知制度とは、登記済証を添付せずに登記申請を行った場合、法務局から登記義務者(売買の場合売主)に、本人限定受取郵便で登記申請の有無を確認する制度です。
(2)本人確認情報提供制度
登記申請の代理を業とする司法書士が、登記義務者本人に間違いないかを調査し、その情報を法務局に提供することによって、登記申請を行う制度です。
(3)公証人による本人確認
公証役場に、登記用の委任状と印鑑証明書を持って行っていただき、公証人の面前で署名捺印をしていただきます。
公証人は、委任状の後ろに認証文をつけてくれますので、それをもって登記申請を行えば、事前通知はされません。
実際の不動産取引の場合、売買代金の受け渡しと、所有権移転登記が同日付でなされる関係上、(1)の制度は、売主が法務局からの通知を受けて、回答をするまで所有権移転登記が確実になされるかが不明確なため、(2)もしくは(3)の方法を採るのが一般的です。
|
Q |
ローンを利用してマイホームを夫婦で購入しようと思うのですが、共有持分は2分の1ずつでもいいんですよね?
|
A |
マイホーム購入には、登記費用や、不動産業者、銀行への手数料等、諸々の費用がかかります。
この費用を夫婦のどちらが(あるいは双方が)負担するかは別として、まず第1に、その物件価格だけを見ます。第2に、その物件に対する夫婦それぞれの自己資金の割合を見ます。
第3に、借入金の債務者が誰になるのかを見ます。
第4に、夫婦の現在の収入の状況を見ます。以下、例を挙げてみますと、
物件価格 3000万円 =自己資金 ( 夫700万円 +妻300万円 )+借入金の債務者 夫のみ 2000万円
夫持分 2700万/3000万=9/10 妻持分 300万/3000万=1/10
という持分になります。この例でもし、夫婦の持分を1/2ずつとした場合、妻の方が、4/10(価格に直すと、1200万)贈与を受けているとみなされ、妻に贈与税が課せられる可能性が生じます。
ですから持分は、最初の出資割合だけでなく、借入金返済の割合も考慮に入れて、慎重に決めましょう。
|
Q |
2年前に新築物件を3500万円で購入しました。
自己資金は1000万円(夫500万円、妻500万円)。残り2500万円は債務者を夫として銀行ローンを利用しました。
名義は、最初の自己資金の割合どおり夫婦2分の1ずつとしましたが、2月の夫の確定申告の際、ローンの1%は住宅ローン控除で戻ってくると思っていたのですが、12万円ほどしか戻ってこないとのこと。
理由は、不動産購入価格と持分割合から、これだけしか戻ってこないということでした。
持分割合を変更したいのですが、どうすればいいでしょうか?
|
A |
ご相談の事例からいくと、購入不動産の本来の持分は、夫について自己資金500万円+借入金2500万円であるため、
3000万円/3500万円→6/7
妻は自己資金500万円を出したので
500万円/3500万円→1/7
となります。
現在登記上は夫1/2、妻1/2となっているため、不動産持分の更正登記を行う必要があります。
そして更正登記を行った上で、ローン控除の手続きを行えば、満額の控除が受けられると考えます。
|